閑静な住宅街で起こった殺人事件。
それは遺体から手首を切り落とすという猟奇的なものだった。
警視庁捜査一課が捜査に乗り出し、その完璧な様で稚拙な証拠隠滅に、当初は問題なく犯人特定に至るものと思われていた。
しかし事件は意外にも、初動捜査の段階で行き詰まりを見せる。
その中で捜査一課の刑事・小林秀は、過去に関わった或る事件との共通点に気づく。
事実、今回の事件は過去のそれと同じ時系列で同様の展開を見せはじめる。
次々に絡み合う複数の事件に捜査は混迷を極め、小林もまた捜査中に襲われ重傷を負う。
この出来事をきっかけに、小林の記憶は断片的に欠落し始める。
それでも犯人逮捕に執着する小林には、消し去る事の出来ない過去の傷があった。
幼少期に両親を殺害されて失ったという過去。
痛切な想いを胸に刑事として生きてきた彼が、失われていく記憶の先に見た事件の真実とは――