新聞配達員の志朗は、心優しいひとり者の中年男。
志朗の至福の時間、
それはコツコツとプラモデルを組み立てている時と、
ひそかに想いを寄せるユキが働く喫茶ノエルで、
彼女の作った目玉焼モーニングを食べている時だった。
「近くに出没した強制猥褻男を退治して欲しい」
と頼んだユキの冗談を真に受け、
志朗は恐る恐る深夜の街に出かけて行く。
しかし肝心の強制猥褻男に出くわす事もなく、
替わりに親父狩りの不良達に絡まれていた
町工場の初老の社長阪本を「結果的に」助ける事となる。
無様な成り行きに坂本の求めにも応じず、
そそくさとその場を立ち去る志朗だったが、
翌朝の喫茶ノエルに顔を出すと阪本が待ち受けていた。
「親父狩りの悪ガキどもをイテもうたろう」
(コテンパンにしてしまおう)
復讐に燃える坂本の誘いを断りきれない志朗は、
オートバイのプロテクターをネット通販で購入し、
完全防備で参加する事になってしまった。
阪本の立てた単純かつ卑劣極まりない作戦は
意外な展開を見せつつ「結果的に」成功し、
初老と中年の親父二人は
泣いて詫びる不良少年達をボコボコにイテコマスのであった。
翌朝、新聞に載った「親父狩り少年返り討ちにあう」と言う記事を見たユキ。
「ちゃんとした事をする人、好きやなぁ」
その一言は、志朗の妄想に火をつけてしまう。
バージョンアップを繰り返し、徐々に形となっていく志朗のヒーロー像。
怪しく光る緑の眼、黒光りする手製の仮面が完成した頃、
ユキを巡り物語は新たな局面を見せ始める・・・。