あらすじ|作品ストーリー (岩松 顯 監督 『幸福な結末』)
あらすじ
愛知・三河の地方都市が一望できるビルの屋上。そこから、桐原は眼下に迫る風景を見ていた。たった今、彼は、そこから身を投げようとしている。絵本作家の彼の人生は嘘と孤独に満ちていた…。

10年前には、デビュー作を発表し、絵本業界空前のベストセラーとなる。しかし、第2作をかき上げることが出来ず、かつての栄光はすっかり過去のものとなっていた。愛想を尽かした妻と息子に捨てられ、出版社からも煙たがられる存在となっていた。

そんなとき、デビュー作の盗作騒ぎが起こる。三河出版の記者は、桐原の盗作騒ぎに乗じて、名を売ろうと証拠集めに躍起になっていた。桐原はジリジリと追いつめられていく。

そんな絶望のさなか、桐原は、少年時代に自分を捨てた母親と再会を果たす。しかし、その再会は、母親がホテルの一室で意識不明のまま発見されるという最悪の形であった。さらなる孤独感に苛まれた桐原は、自らの人生にピリオドを打つことを決意する。

−眼下に広がる三河の景色。最期のときも当然ひとりで迎える−

…はずだったが、落下中の彼の元に一人の少女が駆けつける。誰?! そう思った瞬間、彼は少女になっていた。少女となった桐原は、自らの身体がビルの下で打ち付けられるのを目撃する。ショックから思わず意識を失った彼が目を覚ますと、そこは5日前の世界だった。

5日前の自分と再会した、少女=桐原は、5日前の自分と行動をともにすることに。こうして、二人の桐原の奇妙な5日間が始まる。はじめは、自らの行動を傍観していた少女だったが、少女の視点で自らの人生を見つめ直していくうちに、彼(彼女?!)の心は次第に変化していくのだった…。

なぜ桐原は少女になってしまったのか?
少女はいったい誰なのか?
5日後、桐原は再び死を選ぶのか?

次第に明らかになる謎。投身自殺を図った男が自らの最期を少女の姿で振り返る、奇想天外なヒューマン・ファンタジー。さぁ、二人の桐原が選んだ“結末”を目撃せよ。